どうもこんにちは、むさしです。
今回は虹ヶ咲2期4話「アイ Love Triangle」の感想記事となります。QU4RTZに続く2組目のユニット、DiverDiva回ですね。
果林へのモーニングコールのくだりで少しずつ接点を見せ始めている愛と果林ですが、どのようにDiverDivaが結成されるのか注目です。
- 1. あらすじ
- 2. オンラインライブ開催
- 3. ”お姉ちゃん” 川本美里
- 4. 最高責任者 三船栞子
- 5. 朝香果林と川本美里
- 6. 川本美里と宮下愛
- 7. 宮下愛と朝香果林
- 8. Eternal Light
- 9. 川本美里と朝香果林
- 10. 「アイ Love Triangle」
1. あらすじ
ある日、ショッピングをしていた果林は偶然愛と出会う。その隣には愛の幼馴染であり、「お姉ちゃん」と呼ぶ川本美里がいた。今日は美里の退院祝いだという。体調を気遣う愛と、元気に振る舞う美里。しかし果林は、美里が時折見せる曇った表情が気になっていた。果林が事情を尋ねるも、愛に余計な心配をかけたくないと美里は口を閉ざす。しかし愛はそんな美里の様子に気付いており、果林に相談を持ちかける。そっとしておいた方がいいと答える果林だったが、愛はその言葉を聞かずに美里のもとに駆けだしていってしまう……。
前回第3話、「sing! song! smile!」の感想記事はこちらから!
2. オンラインライブ開催
気づけば 時が早過ぎて切なくなって
何もかも君とだから楽しくなる これから未来がどんな色で光っても
恒例の歌詞引用、第4話はDiverDivaの Fly into the sky より。DiverDivaの既存曲はいわゆるDiverDivaらしい SUPER NOVA や THE SECRET NiGHT、あるいは今回のタイトルにもなっている Love Triangle などがありましたが、なるほど Fly into the sky か…。
”今最高を最高で更新してる”
という神フレーズがある、アニガサキにふさわしい選曲ですね。本編とは離れてしまうんですが、全ラブライバーが愛して止まないμ’s (ですよね?) がラブライブ! に残してくれた「今が最高!」という信念を、この Fly into the sky のフレーズが如実に表しているんですよね。まさかユニットシングルのB面曲でこんな強烈な歌詞が書かれるなんて思いもよらなかったことでした。
これを受けたDiverDiva、今回引用されたフレーズは別の部分ですが、これが4話終わってみてどんな印象を持つか楽しみですね。この時点では、愛さんのフレーズが少し気になるところでしょうか。「何もかも君とだから楽しくなる」は、前回第3話の最後に高咲侑が NEO SKY, NEO MAP! を引用する形で表現したこと、「これから未来がどんな色で光っても」は、前回第3話でQU4RTZが見せた可能性、「色」について言及されていること、この2点がこの第4話でより色濃くなるであろうことを考えるとワクワクしてきますね。
今回のアバンは、QU4RTZのユニットライブを受けて愛さんがオンラインライブを開催したいと話す内容でした。
あ~~~~~ほら偉そうにしてるよ。想像通り過ぎますね。
3話の果林が言った「なんだか、先越されちゃったわね」というセリフが一層引き立ちます。虹ヶ咲の拗らせていた部分を解消したQU4RTZのライブは、確かに賞賛に値する素晴らしいものでしたし、他のメンバーよりも先を行ったQU4RTZ、かすみの性格を考えたら得意気になるのも納得のいく描写でした。
「は~い!それなら愛さん、オンラインライブやってみたい!
会場に来られない人もいるだろうし、ネットでもライブを楽しめればみんなで盛り上がれるでしょ?」
これも納得感強めの描写でしたね。今でこそ、こういう情勢下にあってメジャーになった有料生配信というオンラインライブの形ですが、新型コロナウイルスの流行前は、せいぜいがライブビューイングという形であって、彼方が言ったように「家でゴロゴロしながら」でも見れるライブの形ってもともと普通じゃなかったということを改めて考えさせられましたね。その点において、特に「楽しんでいるオーディエンス」に対してやりがいを感じていた愛が、これを提案するのは特に説得力が強いように感じます。同好会のみんなの反応からも、アニガサキ時空ではオンラインライブという形態が浸透していないということは伝わりますし、そういった世界観の中で、”ライブに参加したいファン全員と楽しめる”形態を模索した愛の個性が伝わる良いシーンでした。
「せっかくならユニットにも挑戦してみたいな~」
「果林ちゃんはやってみたくない?ユニット。」
「私は誰かと気持ちを合わせるより、競い合う方が合っているわ。」
ユニットのことを匂わす愛さん、これは流石に冗談っぽく言っている感じはしましたが、QU4RTZのライブを見てモチベーションの上がっている同好会ならば自然に行き着く考えですかね。ユニットという新しい可能性が提示されたならば、乗っかろうとするのも当然です。
一方でエマに見透かされたかのように、「やりたくないの?」と聞く果林。愛と果林がユニットを組むことを知っている我々からしたら分かりやすいブリッジの掛け方ですが、これまでエマと果林について丁寧に種蒔きをしてきたおかげで、愛と組む組まないという話ではなく、ユニットを経験したエマから果林に差し出される提案として、個人的にはこれも自然な誘いであるように感じます。
3. ”お姉ちゃん” 川本美里
「今流行のコーデをチェックしにね…。」
「ふ〜〜〜ん?(笑)」
やっぱりこの女、悪すぎるだろ。前回もコーヒーを飲む果林さんをバカにする愛さん(語弊)が登場しましたが、この分かってて言っている感じが面白いですね。読者モデルの果林先輩が言うなら、今の流行はパンダコーデなんだぞ、分かったか!!
というのは置いといて、登場したのは愛ちゃんの"お姉ちゃん"、川本美里。本編でも言われているように、実際に血縁関係があるわけではなく、ご近所さんの年上幼馴染ということでした。
「果林ちゃん、って呼んでもいい?」
👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏
4話最初の「マ〜〜〜〜〜ジでアニガサキ」ポイント(プチ)です。
これ、年上の人ならそんな許可を取らずに普通に「ちゃん」付けで呼べばいいんですよ。ましてや"妹"的存在の愛ちゃんのお友達ならなおさらですよね。でも、ここであえて「呼んでもいい?」という一言を組み込むだけで、「あ〜〜〜〜、お前さては宮下愛の親族だな??」という納得感がめちゃくちゃ強まりますね。愛さんが"はじめまして"だった璃奈を口説いた時のような、年下相手に一気にグッッッと距離感を詰める持ち前の絡みやすさ、コミュニケーション力を感じます。それもそのはず、だって宮下愛が「お姉ちゃん」と慕う、年上の幼馴染なんだから同じスキルを持っていても何ら不思議はないのですが、ここで面白いのは、宮下愛の「お姉ちゃん」だからこのスキルを持っているのではなく、「お姉ちゃん」がこのスキルを持っていたからこそ、宮下愛に受け継がれたという可能性が生まれるところです。そんなことが必然性のないセリフから生まれてくるのが魅せ方として気持ち良すぎますね。
3人でゲームセンターへ。
愛さんが基本的に完璧超人なのはさまざまなストーリーで裏付けされていますが、果林がめちゃくちゃ張り合ってたのは個人的にだいぶ印象的です。果林さんの欠点らしい欠点といえば、致命的な方向感覚と素直になれないところぐらいだと思うので、別にゲームが強くてもおかしなところはないんですが、愛さんに負けず劣らずというところがポイント高めでした。「競い合う方が合っている」というのが、誤魔化しでも何でもなく、ただただ朝香果林の基本軸としたらブレないものであるという設定をより強固なものにするシーンで、勝負感の良さを感じさせますね。
今日は美里の退院祝いで遊びにしたことが明かされました。このあと、ボウリングの他にビリヤード、ダーツ、レースゲームと、「3人でいっぱい遊ぼうね」とゲームセンターでさまざまなゲームを楽しむ様子が描かれましたが、「3人で」という割に、美里さんが全て「2人」の勝負を見守っている”だけ”だったのが引っ掛かりましたね。
もちろん、病み上がりのため「休憩」しているだけと言われればそこまでなのですが、これは後々効いてくる部分なので、ここで言及することは避けます。
ゲーム中の2人の表情がめっちゃよかったですね。愛さんが負けて悔しそうな顔をしていたのが印象的でした。宮下愛といえば、「みんなで楽しく」というイメージが強いので、負けてもニコニコしていそうなものですが、感情が顔に出ているのを見て意外だなと感じました。あるいは、”朝香果林に負けたから”というのもあるかもしれませんね。ゲーマー気質の璃奈に負けてもこんな顔はしないと思うので…。
「もうすっかり人気者なのね」
「そうですね。歌もダンスもハイレベルで、私にとっては負けられないライバルです。」
「そう。凄いのね。二人とも…。」
ここなぁ……。4話の感想記事、ここからずっとこんな感じのテンションです。後々の展開もそうなんですけど、美里の抱えているものが苦しすぎるんですよね…。
ここまでのストーリーの中で、読者モデルをやっている朝香果林のもとに、写真やサインを求めて寄ってくるファンは幾度も描かれており、アニガサキ世界における朝香果林の知名度を裏付けるような演出はあったのですが、そんなことは美里は知らないはずなんですよね。これは、愛が美里に果林を紹介するという出会いのシーンからも読み取れることです。今回のこのシーンは、宮下愛がファンに写真を求められるというこれまでになかったシーンで、これはこれで愛のスクールアイドル活動が広がっていることの証左となっていますし、ファンとの距離感も宮下愛に期待されるそれだったので、良いシーンだと思うんですが、美里はこの愛さんを見て”二人とも”と言うんですよね。
このシーンを美里目線で見たら、自分が幼いころから可愛がってきた愛が、見知らぬファンに声をかけられ写真を撮る中で、果林から愛のスクールアイドルとしての能力の高さを聞くわけなので、”凄い”の焦点は愛に行くんじゃないかなと思うんですよ。もちろんそんな愛さんを”負けられないライバル”と認める果林のことを”凄い”と思っていないわけではないと思いますが、話の焦点は愛にあると感じられます。
もちろん先の展開を考慮してこんなことを書いているのですが、ここで果林を含めて”凄い”と漏らしてしまう美里を考えると、いたたまれない気持ちになります。
まぁこの辺の文脈はもう少し進めてみないと全貌がハッキリしないので、とりあえずこの辺りで止めておきます。
「どんな”もんじゃ”い!!!!」
「(失笑)」
「(失笑)」
”オンラインライブ”を開催したかった本当の理由は、入退院を繰り返す健康状態の美里のためだったようですね。アニガサキ時空では、愛は サイコ―ハート と 夢がここからはじまるよ の2ステージに立ったことになっていると思いますが、前者は同好会に入部し、活動を始める中で見つけた”未知なるミチ”による偶発的なライブでしたし、後者は個人的なライブというわけでもなかったので、愛の中で「美里にライブを見せたい」という逸る気持ちがあったのかもしれませんね。タイミング的には、宮下愛が個人的に開催する初めてのライブですし、本当は会場に招待したかったけど、様々な事情を勘案してオンラインの形態に辿り着いたのかなぁなんて思いました。
「実は愛さん、ちっちゃいころは結構泣き虫の人見知りだったんだ。」
「冗談でしょう?」
いや、冗談でしょう?
これは個人的に嬉しいというか、宮下愛のバックボーンが超強化された感じがして良かったですね(スクスタ?知らないです…。)。今でこそいろいろな部活に助っ人に出るスーパーマンの愛さんですが、元々は泣き虫の人見知り??冗談でしょう?
これ、これまで描かれてきた宮下愛の性格的な諸々が「後天的」なものであることになるんですよね。それに加え、元々内気だった愛さんが現在のような溌剌とした女の子になったのは美里のおかげだというんです。入退院を繰り返した末にやっと元気になった美里に対して、「今度は愛さんの番」なんですよ。美里のためにライブを開催したいという強い動機として説得力がありますし、オンラインでの開催という選択も納得感が強い。
でもだからこそ、”あまり嬉しそうじゃない美里”と、それを気に掛ける果林に不穏な空気を感じざるを得ない。もんじゃ、手でつかんでいる場合じゃねぇぞ…。
4. 最高責任者 三船栞子
スクールアイドルフェスティバルと文化祭の合同開催が無事決定し、全てを統括する責任者として栞子が任命されました。
いや~~~ついにきたなぁ三船栞子。まだ何がどうこうってわけじゃないですけど、中核メンバーとしてストーリー進行にメキメキと頭角を現してきています。
にしてもやっぱりだいぶ毒が抜けていますよね。ここまでマジで「良い奴」だもん。生徒会長の菜々をはじめとして生徒会メンバーから信頼を得てる様子も、それを受けて職務を全うしようと顔を輝かす栞子も、今のところは何も不満なところはないですね。今のところは…。
三船栞子と言えば、”八重歯”というかもはや牙というべきトレードマークがあったんですけど、本当にあんまり見えないですからね。文字通り牙を隠しているだけなのか…?
5. 朝香果林と川本美里
八重洲ブックセンターで美里と出会う果林。なんでそんなところにいるのかはさておき、昔は海外で働いてみたいと思っていたと、英会話の本を手に取っていた美里。
「そんな風に無理して笑う必要、無いんじゃないですか?
ごめんなさい、でも美里さん、何かを抱えているように見えたから。
本当の気持ちを伝えてもいいんじゃないですか?」
はぁ~~~~~~~~~~~~、お節介じゃん!!!!!
朝香果林、、お、お前~~~~~!!!って顔してしまいました。これ、当たり前ですけど果林が同好会に入らなかったら絶対に言わないセリフだなって感じですよね。3話までの記事にも書いたように、とにかくアニガサキでは「心の声」に正直になることが求められます。メタ的に物語の筋なのでその通りなんですけど、朝香果林が「心の声」と向き合った結果が今に繋がっていることと、エマ・ヴェルデという絶対心に耳を澄ませるマンと強い繋がりを持ったことに依るものに違いないですよね。
まぁ実際果林も他人の機微には鋭い方かもしれないのは1期9話が良い例ですね。大人の余裕と言うべきか達観しているというべきか、自分の心に向き合うのはエマ無くしてなし得なかったことですが、こと「他人の心」については同好会加入前から幾度となく助け舟を出していたようにも思えます。
「すごいね。愛ちゃんも果林ちゃんも。
歌って踊って、たくさんの人を笑顔にして」
美里が抱えるモノについては次項でハッキリとするんですが、ここもなぁ…。
人見知りだった愛が夢中になれるものを見つけて大きく変わっていく様子を、近くで伝え聞かされるばかりで、一方の自分は「足が止まってしまっている」わけなんですよね。ここについては1期で見た、侑と歩夢の”変わりつつある関係性”を”変わらぬ思い”を共有して前進させるプロットが似ているように感じられます。侑と歩夢の場合、侑がスクールアイドルみんなを応援し、音楽科を志すようになった変化と、歩夢が「見てほしい」「応援してほしい」「大切な」相手が侑だけではなくなっていった変化とがありましたが、愛と美里の場合は愛さんが変わっていく一方で、美里は”取り残される”ように、止まったままというのが相違点ですね。
ここで示される飛行機雲、並行していた2本が、片方は停止し今にも消えそうになっている一方で、もう片方はグングンと濃く先に延びていく様が「美里と愛」の関係だけではなく、「美里とその他大勢」という構図になっているように感じられます。というのも、歩みが止まってしまった美里、正確に言うならば病気によって歩みを止めざるを得なかった美里にとっては、今この瞬間夢に向かっているすべての人が「すごい」のであり、別に相手は愛に限った話ではないんですよね。もちろん、最も身近な宮下愛に対して抱えるモノが一番大きいのは当然だと思いますが、ここまででも果林を含めて”2人”の凄さを認めてきていますし、美里にとって、目に映る全てが眩しいんだと思います。
そんな中でも、捨てきれない夢。未練を残すように英会話の本を手に取ってしまうほど、諦めきれていない美里がいることも事実です。でも、もう一歩が踏み出せないんですよね。これはもう、本当に誰が悪いとかそういう話でもないのでただただ胸が苦しいです。小さいころからずっと見てきた愛が、大きく成長していつの間にかはるか先を行ってしまっている。そんな愛の隣りに立って競い合うことができる果林を見て、美里の中には嫉妬心のようなものが芽生えるも、自分の諦めきれない夢に対してさえ、ただどうしようもないという現実に打ちひしがれているように感じました。
モーニングコール…?これはモーニングコールと言えるのか…?
「あと5分」「今起きた」の間に何分経ったのか気になります。
美里の元気がない様子を不安がる愛が果林を呼びつけるシーン。
「それを美里さんは望んでいるのかしら」
「どういうこと…?」
「悩んでるお姉ちゃんを放っておくなんてできない!」
美里のところに向かおうとする愛と、呼び止める果林。
果林は美里との会話の中で、愛と美里が本心で向き合えていないことが分かっています。裏が分かっている果林が時間を置くべきだと主張するのもまぁそうだよな…という納得感がありつつ、放っておけないと主張する愛にも、まぁそうだよな…という納得感があってここは本当に息苦しいですよね。悩んでいる人を放っておけない性格だということも分かっていますし、「愛さんの番」と意気込んでいただけに、じっとしていられない気持ちもわかります。果林もこれが分かるからこそ、”引き留める”お節介までは焼けなかったんだと思います。
6. 川本美里と宮下愛
「お姉ちゃん、何に悩んでるの?
お願い教えて!あたしにできること!」
「ごめんなさい、思いつかないの、愛ちゃんにしてほしいこと。」
「もしかして、あたしのせい?」
心臓が足りません。
入院している間、気付けば周りの友達はみんないなくなり、ずっと近くにいてくれた、支えだった愛もスクールアイドルという自分のやりたいことを見つけた。愛は決して美里の元を離れたわけではないのに、美里は愛が遠く離れていったように感じたわけです。
この美里を取り巻く環境の変化を、たった一枚残った朽ち落ちた枯れ葉が吹かれる描写で表現するのには胸が刺されるような思いでした。
「”楽しい”って気持ちも分からなくなった。」
「愛ちゃんはスクールアイドルを頑張っているだけなのに、勝手だよね。」
「楽しかった?」
「愛ちゃんのことは、これからも応援してるから。」
正直、4番ボコボコにされたのはこの一幕でした。
というのも、アニメ化以前から存在していた宮下愛というスクールアイドル像と、バチバチに衝突してしまうシーンだったんですよね。3rdアルバムより、「楽しいの天才」(スクスタ?知らないよ…)。
最初は本当泣き虫で 凹むことばっかりがありすぎて
こんな自分がとっても嫌い でも今は強くなりたい
これは、アニメの中でも明かされた宮下愛の幼少期から今にかけてのパーソナリティーを表現していますが、
楽しいから笑うんじゃなく 笑うから楽しいんだ!
気付けばみんな笑顔だ 涙はどこかへ飛んでった
つまらないことなんてない 全ては自分次第
いつどこでもアガれる アタシ楽しいの天才
内気な性格だった愛は、小さいころから美里に様々な「楽しい」を教わってきたんだと思うんです。美里に「楽しい」を教えてもらい、笑顔になっていた幼少期とは対照的に、「楽しい」の気持ちが分からなくなった美里がここまで見せていた表情は、”笑顔”と呼べるのか。この辺りも「ココロに耳を澄ませて」というべきなのかもしれません。つまり、「心の底からの笑顔」なのかどうかということですね。
スクールアイドル同好会の門を叩いた時、「みんなのことも手伝うよ!」と言っていたように、天王寺璃奈に手を差し伸べたように、基本的に愛さんは他人のために動ける人なんですよね。スクールアイドル同好会への入部を決めたのも、「スクールアイドルを見たファンの盛り上がり」が理由でした。明るいキャラでみんなに好かれる愛さんですが、ここで”スクールアイドル宮下愛”が傷つけた川本美里が「愛ちゃんにしてほしいことが何も思いつかない」というのは、宮下愛というスクールアイドルに対するアンチテーゼとしてあまりに残酷じゃないですかね…。
その笑顔が パワーの源なんだよ
24-7 どんな日でも ずっと 眩しく輝いて…
太陽 降り注ぐよ さぁ行こう!
愛が Sun Sun と
ココロからのスマイル 見たいよ
笑った顔 サイコー!
そのハート照らす 太陽になりたいよ
いつでもずっと眩しく輝く太陽も、眩しすぎて目を逸らしてしまう、灼かれてしまう人もいるんですよね。それが宮下愛を形作った、今の宮下愛の原型とも言える人だなんてね…。
本当に誰も悪くないんですよね。向き合うべきものが重たすぎます。
ひっくり返ったパンダ。愛のカバンに付いたぬいぐるみが、目を逸らしてしまっていますね。
7. 宮下愛と朝香果林
「できないよ!楽しいことを教えてくれたお姉ちゃんをアタシが傷つけた!
そんなアタシがスクールアイドルなんてできないよ!」
食ったことある味したなぁ!?
これ、もはや悪しきお家芸なんですけど何なんですかね。オレンジの宿命?
宮下愛、メンバーカラーは「超オレンジ」なんですけど、これまでのオレンジ系統の主人公キャラを結構ハッキリと受け継いでいる感じがしますよね。サイコ―ハート前の光をつかむシーンなんてμ’sの劇場版で穂乃果が”成し遂げたこと”だし、 Colorful Dreams! Colorful Smiles! でのロンダートはAqoursのストーリーで千歌が”成し遂げたこと”だったんですけど、いとも簡単にやってのける感じは流石”超”オレンジというべきでしょうか。辞める辞めないの話まで引き継がなくても良かったんだけどな。まぁでもこれは愛さんの気持ちも美里さんの気持ちも痛いほどわかりますし、過去作の「辞める」発言よりもずっと共感性が高いのでまだいいです。
「愛のファンをごっそりいただくチャンスだもの、きっと美里さんも私に魅了されてファンになっちゃうわね。」
この女、この女マジで……ッッ!
焚きつけるのが上手過ぎんだろ。一瞬で愛を影から引っ張り出してきたよ。
「本当はスクールアイドル、もっともっとやりたいよ!!!!!!」
「それがあなたよ。誰も傷つけないなんて、そんなことできる人いないわ。
それでも、太陽みたいにみんなを照らせる笑顔があなたにはあるでしょ。」
朝香果林とかいう女、マジでカッコよすぎだろ…。
愛の本当の気持ちを秒で引っ張りだしたよ。エマ・ヴェルデに教育されているだけありますね。
”持っている人間”の宮下愛、今回の一件に限らず無自覚のまま他人を傷つけたのかもしれないという可能性が拭えぬままですが、これを許容するように朝香果林が立ち回ったのがめっちゃ良いですね。誤魔化すことをせず、”それでもなお”という「傷つけること」に肯定のスタンスを取ったことにグッときました。というのも2人が会話しているこの場所、1期3話で”スクールアイドル優木せつ菜”がスタートを切った場所なんですよね。この回は、自分の大好きを押し付けることで他人の大好きを否定し、傷つけてしまったせつ菜が新たな一歩を踏み出すお話でした。この話のキモは、せつ菜が同好会に戻る上で、「誰も傷つけない」選択をしたのではなく、「誰かを傷つける、あるいは自分が傷ついてもなお、自分の大好きを貫く」選択をしたことでした。同好会が”ソロ”を主体にして活動していくと決めたのは決して折衷案ではなく、皆が自分らしく輝ける手段であったからでしたね。1期3話までの話は明らかにせつ菜がファシリテーターとして機能していたので、せつ菜が”今”に繋がる覚悟を決めた場所で、愛と果林がこのテーマに向き合うことには大きな意味があるように感じられます。愛は傷つけない選択を取るのではなく、傷つけたままを良しとしない覚悟を決めたわけですね。愛さんは楽しいの天才だから。たまには傷つくこともある。でもその経験が糧になる。果林が認める太陽のような笑顔を持っている愛。楽しいの天才なら、笑顔の連鎖は繋がっている、どこまでも広げられるはずですからね。スクールアイドルなら、きっと実現できると”信じて”、傷つけても”それでもなお”、笑顔にするために輝き続ける決心なんだと思います。
ここからDiverDivaの結成に繋がるプロットはもはや何も言うまいって感じですね。こう見えて二人とも「放っておけない」性格な果林と愛の親和性が高いことは伝わりますし、愛を焚きつけた果林という構図も、”競い合うライバル”の関係を望む果林がユニットを組むだけの十分な理由がありますからね。焚きつけるだけ焚きつけておいて逃げるわけないですよね果林先輩!?
8. Eternal Light
「自分が失くしたものを、愛ちゃんがみんな持っているように思えて。」
謝りたくて来た??ちげぇだろ美里さんよぉ!!
黙って会場入りする朝香果林限界オタク綾小路姫乃を見習え!!
オンラインライブ当日を迎え、謝りたくて外に出てきた美里さん。会場(パレットタウン)まで行って虹ヶ咲学園(ビッグサイト)まで引き返すの、結構大変だぞ?と思ったけどゆりかもめ乗ればすぐでしたね。
愛へのモノローグでは”目を逸らしている”パンダですが、配信画面が映るシーンではちゃんとコッチを向いているんですよね。ただこれは、愛さん側がこの一件に向き合おうとしているだけで、美里はまだピントが合ってないことを表しているのかななんて思いました。後は美里が向き合うだけですね。
ライブ前に緊張の面持ちな愛さんにギュッと抱き着く璃奈。これはまぁ全オタクが1期6話で段ボールに籠った璃奈を”そのまま”ギュッと抱きしめ、璃奈のカタチを肯定してくれたシーンのお返しだとすぐ気付くと思います。アホ毛を撫でるの良いですね。
というか、2期に入ってから天王寺璃奈、結構甘えてんなぁ?エマにも滑り台で抱き着いていたし、同好会の中での距離感がグッと縮まっていることも感じられますね。
「楽しむ準備はできてる~?
出来てない人、いるんじゃないの~~?
でも大丈夫!
愛さんの中には、小さいころからもらってきたたくさんの楽しいがあるから、それをいまからみんなにあげる!
明日から一歩でも、進んでみようって思えるような最高のライブをするから!
笑顔になる覚悟は決まった?」
「逃がさないわよ~?」
DiverDivaのライブからランジュだけ省かれてて笑っちゃった。スクスタでDiverDivaとランジュの間にできた”あの”関係性があったから、アニメでは共演NGになっちゃった???
それはそうとして、愛さんのこの誠心誠意の言葉、100点満点の解答を持ってきましたね。「楽しいをあげる」か…。”楽しいを分け与える”って、もう模範解答だろ。せつ菜の”大好き”と通ずるところがありますが、押し付けではなく共有なんですよね。
果林に刺激されて覚悟を決めてステージに立った愛。愛の覚悟とは前述のように、「信じて、笑顔にするために輝き続けること」でした。では美里側も覚悟を決めなくてはなりません。対等な関係として前進するためには必要なことだと近江姉妹の件でしっていますね。愛が求めるものは単純明快で、笑顔になる覚悟です。
『楽しいから笑うんじゃなく、笑うから楽しいんだ。』
果林の「逃がさないわよ」というセリフも、ボリューム差的に、取ってつけたようなものに見えがちですが、ここまでの文脈を踏まえればスマートに短く思いを伝える果林らしいセリフだなって感じます。愛が覚悟キメてステージに立ってんだ、逃がすわけないですよ美里さんと。
ようやく目線の合ったパンダ。もう大丈夫ですね。
DiverDivaの新曲は Eternal Light。
レトロフューチャーな印象と愛さんの高速フローが光るナンバーですね。
ライブ会場となった聖地を知らなかったんですけど、プロレスのリングみたいでDiverDiva、ステージで競い合うって”そういうこと”なのか…?と邪推してしまいました。
この曲はこれまでにまして何言ってるか聞き取れないのですが、いつも通り拾えるところだけ。
まずはMVについて、これは放送時もよく言われていましたが、果林と愛がそれぞれ「4」と「9」という、相方の1期担当回の番号の部屋にいることがありますが、だからなんだって感じですね。今のところこれ以上でもこれ以下でもないというか、掘り下げられないこともないですが、まぁいいかなって具合です。
映像で個人的に好きなのがこのシーン。柵越しに愛さんを見る視点ですね。
柵を挟んだその瞬間から、向こう側に立つ人間はスクールアイドルとなり、こちら側はファンになります。美里と愛のこれまでを考えれば、「私の知ってる愛ちゃん」が柵の向こうの「私の知らない、スクールアイドルの愛ちゃん」に早変わりし、関係性の変化を上手く表現しているように感じられます。
ココロの声 見つけたんだ
望むがままで いいんじゃない ってそうじゃない そういいんじゃない?
ココロの声に気付いたのは、美里が海外への憧れを持ち続けていることを知った果林の方だと思います。虹ヶ咲発のユニットらしい歌詞ではありますが、生きた文脈が背景にあるのでやはり印象的なフレーズだと感じます。
体中で感じて 歌うよ全力で 伝わるまで
確かな絆 感じてる どこまでも時を超えて
ここは一転、愛の思いですよね。
傷ついても傷つけても、"伝わるまで"伝え続ける。伝わると"信じる"という覚悟のもとですね。
ここでいう「確かな絆」とは、言わずもがな愛と美里のことだとは思いますが、愛が言っていたように、直接ライブを見てくれているファン、オンラインで見てくれているファンに向けてのこと、さらにはステージ上で共に立っている愛と果林についてのことなど、複合的な「絆」なのかなと感じます。
\\カリンチャンセクシーデヨカッタヨ~//
それな。「素敵だ↓よ↑」が素敵すぎる。ここの朝香果林マジで好きです。
「楽しかった!私、愛ちゃんのファンになってもいい?
愛ちゃんのライブ、すっごく笑顔になれて、頑張る力がもらえるから!」
もはや何も言うまい。DiverDivaのステージとこの美里の言葉で、万事解決といったところですね。
9. 川本美里と朝香果林
再び八重洲ブックセンターで英語の本を手に取る美里さん。とまたまたなぜかそこにいる果林。
「遅いなんてことないですよ。どんなことだって。」
ま~~~~~~~たお前は。4話ずっと果林株が上昇しているんですけど??
まぁこれもエマ・ヴェルデイズムなのは違いないところですけど、朝香果林という女の子の「本当の私」とは、2ndアルバムより Wish に拠ると、すごく繊細で”弱い”女の子なんですけど、果林も同好会に入ったことで大きく変わっていることが分かりますね。
再び飛行機雲、さっきとは異なり先頭の見えない2つの雲を追うように、後から描かれる雲が一つ。遅くなっても、確かな軌跡を描いて前進していることが表現されていますね。先行する2つの雲が道標になっているようにも感じられます。
「実はね、今の私の目標は果林ちゃんなの。
負けないからね!」
「望むところです!」
今度は、み、美里!お前~~~~!!!って顔してしまいました。
美里が愛を応援できるようになるだけでは、美里は開放されたとは言えませんよね。一度は動かなくなってしまった足を、夢に向けて踏み出せるようにならなければならなかったわけです。歩みはゆっくりでも、向かうべき先がしっかりと捉えられれば、前へ進めます。美里はその道標として、宮下愛という一種の「憧れ」だけでなく朝香果林を目指すべきものとして捉えたわけで、ユニット結成で「競い合う関係性」になった愛と果林、そして進みだした美里が二人と同じ土俵に上がったことに感動しました。返す朝香果林も、どこか嬉しそうなのは、もちろん心配だった美里が明るい未来へ進みだしたこともありますが、「競い合い」が性に合っているというスタンスゆえというところも感じられますね。
直視できないほど眩しくなった宮下愛が、美里が見たことない顔をする相手、朝香果林。心の支えだった頃の愛さんに目を逸らしたくなったけど、遅くなったけど、2人を追いかけることを決めた美里にとってDiverDivaの2人は美里の未来を照らし支えてくれる永遠の光、Eternal Lightとなったわけですね。
10. 「アイ Love Triangle」
4話のタイトルは、いわずもがなDiverDiva「Love Triangle」をまんま受けたものですが、これについて少し考えてみたいと思います。
果林が言ったように、宮下愛には太陽のような明るさ、弾ける笑顔という魅力がありました。今回のストーリーは、周囲全てを無条件に無差別的に照らす太陽が眩しすぎて目を伏せてしまう人、灼かれてしまってエネルギーが枯れてしまう人もいることがテーマとして挙げられていまいした。日差しが差せば、影も必ずできます。しかし、それだけ強く輝く太陽の光があるからこそ、夜空にキラめく星々もその存在を示すことができるのです。星の光が明る過ぎれば、その周りの星の「輝き」は霞んでしまいますが、間違いなく光ってはいるわけですよね。
Love Triangle。夜空に光る星がみっつ。眩しいほどの太陽の光に灼かれるのでなく、まばゆい太陽の光を受けて自分の光を放つ夜の星のように。愛と組んだ果林だけでなく、少しずつ輝き始めた美里も一緒になって、”トライアングル”を成形するわけですね。
また、「アイ」が付け加わっていることは、もちろん愛さんギャグ(侑ちゃん爆笑)を意識したものであるとは思いますが、英語の一人称主語 ”I” という意味合いも含まれていると感じています。曲の表題通り"Love Triangle"だけだと、”恋の三角関係”という少し非対称でドロっとした粘性を感じますが、ここに"アイ(I)"が付け加わるだけで、"I Love Triangle" すなわち「私は三角関係を愛する」という読み方に変わりますね。もちろん、楽曲”Love Triangle”が製作されたその時は”恋模様”を意識していたのかもしれませんが、本編になぞらえて考えると、どうも”恋模様”というのはしっくりきません。ところがタイトル通り”アイ”を補完することで、これからもステージ上で競い合い続ける果林と愛の関係、”スクールアイドル”と”ファン”という新たな関係性を見つけ、”ココロからのスマイル”を見せ合えるようになった愛と美里、負けられない目標、ライバルとしての関係を構築できた美里と果林の、サイクリックで重心のとれた三角関係を祝福する素敵な意味合いが現れてきます。同じ星でも、冬の星座に閉じ込める人たちとは全く違いますね。
あとはこの曲、美里視点で歌詞を読み解けるようになったと思うんですよ。
誰にもキズついてほしくないし キズつきたくなんかないけど
キミってば素敵 あの子は魅力的
二人は完璧!? 自信なくしちゃう…
ひとつだけ言えること キミを好きな気持ちは
誰にも負けない あのコにも
いつかきっと叶うって信じてる
いつかきっと”敵う”って信じてるという置換をしてみるのも面白いですね。
正直、次回予告を見たときにDiverDiva回だということは分かりましたが、まさか”Love Triangle”が愛と果林と美里のことだなんて想像もしてなかったですし、”アイ”が付随する奥ゆかしさが生まれるとは思いませんでしたね。
学業にスポーツ、対人コミュニケーションと様々なことに対して"天才肌"な愛さん、そんな愛さんが「楽しいの天才」として壁にぶつかるしんどさと、その壁を跳ねのけるという「”楽しい”の天才」たる所以を感じた回でした。同時に、朝香果林がとにかく魅力的に映っていましたね。「仲間だけどライバル」に対して「ライバル、だけど、仲間」の関係性を初めて打ち出したのは果林。これによって「仲間」という部分を認識するようになったけど、根本のスタンスは最初から持っていた「ライバル」の関係性であって、コレを終始貫ぬきながら立ち回る朝香果林がカッコ良すぎる。
今回示されたDiverDivaというユニットの形、これは前回までの「調和」を重視するQU4RTZとは全く別のユニットの形でした。虹ヶ咲は「仲間でライバル」ですが、「仲間」にフィーチャーした”気持ちを合わせる”QU4RTZのスタイルも、「ライバル」にフィーチャーした”競い合う”DiverDivaのスタイルも、全部虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会だからこそ許容されるユニットの形なんですよね。ここまで2グループ、細かい話をすれば詰められるとことも無いことはないですが、納得感の強い結成前日譚で大満足しています。
今回は本当に内容的に重たい部分があって、キャラクターのセリフがもう"それ"でしか無かったので、振り返ってみるとかなり内容が薄い感じになってしまいましたが、その分話の筋は分かりやすい回だったのかなと思います。度々カットが入った「パンダ」については、もう少し考えたいなぁと思ってるので、いつかきっと加筆します。
エンディング後の赤メッシュの良く知らない人は見なかったことにして、今回の記事を終えたいと思います。
純情な情緒を描いていく、鮮やかなまま
どんな明日もキラメキで埋めたい
これからも 一緒だよ
”トライアングル”の明るい未来を祈っています。それでは!